CMはどれくらい打てばいい?テレビCMの出稿量と認知率の関係を徹底解説!
テレビCMへの出稿を検討している方の中には、どのくらいCMを流せばいいのか分からないという方もいるかもしれません。テレビCMへの出稿量は、獲得したい認知率によって変わります。そのため、最適な出稿量を算出するためには、テレビCMにおける「出稿量」と「認知率」の関係について理解することが重要です。
本記事では、テレビCMの出稿量と認知率の関係について、各種指標とともに分かりやすく解説します。広報担当・マーケティング担当の方はぜひ最後までご覧ください。
目次
CM出稿によるリーチ数(到達数)の目安となる指標「GRP」
テレビCMの出稿量と認知率の関係を理解するためには、リーチ数(到達数)が重要な指標となります。そして、リーチ数を左右するのがGRPという指標です。まずは、CM出稿におけるリーチ数とGRPの関係について解説します。
GRP = 獲得した世帯視聴率の合計値
GRPとは「Gross Rating Point」の略で、獲得した世帯視聴率(Rating)の合計値(Gross Point)です。日本語で「延べ視聴率」と表現されることもあり、CMを出稿したテレビの視聴率を足して計算します。たとえば、視聴率5%の番組に、テレビCMを2本出稿すれば、10GRPを獲得したことになります。複数の番組にテレビCMを出稿する場合の計算式は次の通りです。
【視聴率10%の番組にCM5本・視聴率20%の番組にCM2本を出稿する場合】
GRP計算:(10×5)+(20×2)= 50GRP+40GRP = 90GRP
テレビ局とスポットCMの枠を取引する際も、想定1GRPあたりの単価によって出稿費用が決まります。たとえば1GRP単価が1万円の場合、200GRPを獲得するための予算は200万円です。
テレビCMにおける「タイム」と「スポット」
テレビCMには「タイム」と「スポット」の2種類の出稿方法があります。
- タイム:特定番組のCM枠で自社のCMを放送
- スポット:出稿時間帯だけを指定し、予算に応じてCMを出稿
「タイム」はブランディング目的の場合に、「スポット」は最大限リーチ数を増やしたい場合にオススメです。
また、獲得した世帯視聴率の合計値を求めることで、CMの費用対効果の指標にもなります。
「認知 = CM接触回数(フリークエンシー)3回」と仮定
テレビCMを出稿する場合、その目的は「認知」を獲得することにあるのではないでしょうか。たとえば新商品の宣伝のためにCMを打つ場合、目標として「認知率50%」などの数字が掲げられる場合も多いでしょう。
テレビCMで「認知」を獲得できたか否かは、CM接触回数(フリークエンシー)が3回と仮定することで測定できます。フリークエンシーとは、1人の視聴者が特定のCMに触れた回数です。同じCMに3回触れた場合、フリークエンシーは3となります。
広告業界では、1人の視聴者が特定の商品を宣伝する広告を3回見れば、その商品を認知すると仮定することが多いです。根拠としては、「スリーヒッツセオリー(3ヒッツ理論)」と呼ばれる米国GM社の広告担当者が研究した理論が用いられます。
フリークエンシー | 視聴者の状態 |
---|---|
1回 | 注意喚起(Attention) |
2回 | 興味関心(Interest) |
3回 | 認知・想起(Awareness) |
スリーヒッツセオリーでは、フリークエンシーに応じて視聴者の状態は上の表のように変化します。フリークエンシーが4回以上の場合は、フリークエンシー3回目の状態が繰り返されるので、「認知 = CM接触回数(フリークエンシー)3回」が目標指標です。
GRP投下量とCM認知率の関係性
ここからは、GRP投下量とCM認知率の関係性について解説します。
フリークエンシーに対して、テレビCMには「リーチ」という指標もあります。リーチは「CMに触れた視聴者数」です。1人の視聴者が同じCMを何回見たとしても、リーチは1となります。
フリークエンシーとリーチ
フリークエンシーとリーチは、それぞれ把握できる情報が異なります。フリークエンシーはCMが1人のユーザーにどれだけ届いたか、すなわち訴求の「深さ」を把握する際に役立つことが特徴です。
一方、リーチは1つのCMがどれだけ多くの人に届いたか、すなわち訴求の「広さ」を測る際に使えます。
さて、「GRP」「フリークエンシー」「リーチ」を組み合わせると、次の計算式が成り立ちます。
フリークエンシー = 1GRPあたり推定視聴者数(※1) ÷ リーチ
※1 「1GRPあたり推定視聴者数」はCM放送エリア内の世帯数や世帯あたり平均人員数などを基に計算可能。
※ GRP = 獲得した世帯視聴率の合計値
※ フリークエンシー=1人の視聴者が特定のCMに触れた回数
※ リーチ=CMに触れた視聴者数
すなわち、CM認知率(フリークエンシー3回)は、GRP投下量と関係性があることが分かります。一般的には、テレビCMでフリークエンシー3回を実現するためには400GRPが必要と言われています。
また、GRP投下量とCM認知率の関係は、次の2つの視点から考えると理解が深まるでしょう。
- 「リーチ曲線」から導く
- 「ノーム値」から導く
それぞれの詳細を解説します。
「リーチ曲線」から導くGRP投下量とCM認知率の関係を示すグラフ
たとえば認知率50%が目標の場合、求めるべきGRP投下量はどうなるのでしょうか。認知=フリークエンシー3回だとすると、フリークエンシーが3回となるリーチ数を50%以上にすれば、認知率目標を達成したことになります。
下の図は、リーチ数とGRPの関係を表した「リーチ曲線」です。
ここでフリークエンシーが3回となる「R3+」が50以上となるGRPが、認知率50%を達成するために必要なGRP投下量です。上の図の場合は、おおむね400GRP〜500GRP必要なことが分かります。
「ノーム値」から導くGRP投下量とCM認知率の関係を示すグラフ
目標認知率を達成するために必要なGRPの求め方としては、同一手法の調査結果を積み重ねて抽出した基準値である「ノーム値」から導く手法もあります。下の図は、ビデオリサーチ社が約2,500素材のテレビCMを調査して算出した、GRP投下量とCM認知率の関係性を表したグラフです。
認知率50%を獲得したい時は、認知率50%に対応するGPRのノーム値を見ることで必要GPRが算出可能です。
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費用対効果の高いCM出稿に重要な4つの要素
ここまで、CM出稿によるGRP・フリークエンシー・リーチの関係について解説しました。目標となる認知率を獲得するためには、自社に必要なGRP投下量を把握することが非常に重要です。ただし、費用対効果の高いCM出稿を実現するためには、GPRなどの指標と合わせて次の4つの要素を意識しましょう。
- ターゲットに最適な局・時間帯
- クリエイティブを常にブラッシュアップ
- サチュレーションポイントを把握したプランニング
- WEB媒体との組み合わせ配信で相乗効果
それぞれの詳細は次の通りです。
1.ターゲットに最適な局・時間帯にCMを出稿する
広く認知を獲得したとしても、ターゲット外の認知は商品購入などのコンバージョンに繋がりません。そのため、広告の費用対効果を高めるためには、認知を獲得したいターゲットに最適な局・時間帯を選ぶことが重要です。
たとえば主婦層がターゲットであればお昼時、ビジネスパーソンがターゲットであれば平日夜と休日(いわゆる逆L時間帯)に出稿時間を寄せるなど、ターゲットがテレビを視聴しやすい時間帯を選ぶといいでしょう。
また、ターゲットに最適な局・時間帯を測る指標としては「TRP」を意識することがオススメです。TRPは「Target Rating Point」の略で、その名の通りターゲット別の延べ視聴率です。GDPは平均世帯視聴率を用いて求められますが、TRPはターゲットとなる個人の視聴率から求められます。ターゲットが絞られている商材であれば、TRPを出稿量の基準とするといいでしょう。
なお、テレビCMは局や時間帯に応じて出稿料金が大きく変わります。そのため、出稿時間は予算との兼ね合いで選ぶことも必要です。
テレビにおける時間帯
テレビにおける時間帯には様々な名前がついており、代表例としては午前6時〜深夜12時の「全日」、19〜22時の「ゴールデンタイム」、19〜23時プライムタイムが挙げられます。
ゴールデンタイムは青少年も視聴することが多いため、出稿できるCMに一定の制限がかかることは覚えておきましょう。
2.クリエイティブを常にブラッシュアップする
同じテレビCMを流し続けると、フリークエンシーが高まります。フリークエンシーが多ければ多いほどいいと考える方もいるかもしれませんが、先述したスリーヒッツセオリーで紹介した通り、フリークエンシーが4回以上になっても大幅なプラス効果は見込めません。むしろ、同じCMに繰り返し触れることで、視聴者に飽きや嫌悪感を感じさせるリスクもあります。
クリエイティブは常にブラッシュアップし、フリークエンシーが高まりすぎないようにしましょう。
3.サチュレーションポイントを把握したプランニング
テレビCMに出稿すると、リーチが頭打ちになるポイントがあります。リーチが頭打ちになる状態は「サチュレーション」と呼ばれ、それ以上のCM効果が見込みづらいポイントです。出稿前のプランニングでサチュレーションポイントを意識していないと、リーチ数が頭打ちになっているにも関わらずCMを出稿し続ける事態に陥ります。(無駄なGRPを投下している状態です)
サチュレーションポイントはターゲットによって異なります。たとえば、テレビ視聴時間が短い層が存在する若年層は、テレビ視聴者が多い高齢者層と比較すると、サチュレーションポイントが早く訪れることが特徴です。限られた広告予算を効率的に使うためにも、ターゲット層のサチュレーションポイントを把握しておきましょう。
4.WEB媒体との組み合わせ配信で相乗効果を狙う
テレビCMを出稿する際は、WEB媒体との組み合わせ配信が有効です。テレビCMとWEB広告の特徴を理解し、相乗効果を狙いましょう。
テレビCMの主な目的は認知の獲得です。リーチ数を大量に獲得できるメリットがある一方、直接調節的な行動に移してもらいづらいことがデメリットと言えます。WEB広告の強みはテレビCMほどリーチを獲得できないものの、気になった商品ページをすぐに閲覧できたり、ECサイトですぐに購入できたりすることが強みです。
リーチを広げやすいテレビCMと、コンバージョンに近いWEB広告を併用すれば、視聴者(ユーザー)に行動を促しやすいです。たとえばテレビCMで認知を広げておけば、WEB広告を見たときに「知っている商品だ」と想起され、クリック率が向上する効果が期待できます。
また、WEB広告を使うことで、テレビを見ないデジタル世代へのリーチも可能です。リーチの最大化を目指す場合は、テレビCMとWEB広告を併用しましょう。
さらに、テレビ・WEBの双方で接触することで、認知効果を強化できることもポイントです。たとえばテレビCMで2回、WEB広告で1回、合計3回接触できれば、そのユーザーの認知を得られます。どちらかの媒体だけでは認知まで到達できない可能性もありますが、テレビCMとWEB媒体を併用することで、より確実な認知効果が期待できるでしょう。
まとめ
テレビCMで認知を獲得するため、まずはフリークエンシー3回を目指す必要があります。そして、目標となる認知率を達成するためには、統計データから必要となる(フリークエンシー3回以上の)リーチ数を導き出し、それに相当するGRPを投下しなければなりません。まずは目標とする認知度を定め、必要なGRP(出稿量)を見極めましょう。
また、Web媒体との組み合わせ配信を行うことで認知効果を強化し、リーチの最大化を目指すことも重要に。そのため、テレビCMの出稿を検討している場合は、CMのプランニング・提案・出稿に精通しており、テレビCMとWeb媒体の組み合わせ配信が可能な広告会社に相談することをおすすめします。
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- 高橋 美咲
- 住宅販売のマーケティングチームにてオフライン施策のコミュニケーション戦略や
TVCMなどのマス広告を中心とした統合コミュニケーション戦略立案の展開や運用を経験。
現在は広告代理店にて上位の戦略から予算を抑えたコストパフォーマンスの良いプロモーションの戦略の立案まで幅広く、プランニングに従事。
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