テレビCMの種類とは?スポットCMとタイムCMの違いや活用方法を解説
動画マーケティング

テレビCMの種類とは?スポットCMとタイムCMの違いや活用方法を解説

テレビCM出稿

認知拡大やブランディングを目的にテレビCMを流す場合、目的にあったタイプの出稿方法を選ばなければなりません。はじめてテレビCMを流す場合には、どのような種類があるのか、それぞれの出稿方法で何が異なるのか、分からないことも多いでしょう。

本記事ではテレビCMの出稿を検討している方向けに、テレビCMの種類について解説します。スポットCMとタイムCMの違いそれぞれの活用方法出稿方法の決め方などについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

テレビCMの出稿方法

まずはテレビCMの出稿方法についてご紹介します。テレビCMはWeb広告やSNS広告と異なり、自社で直接出稿することはできません。原則として代理店経由で出稿することは覚えておきましょう。

関連記事:価格相場・安さで比較!テレビCMの出稿依頼ができる広告代理店5選

代理店へテレビCM出稿を依頼すると、まず初めに「タイムCM」と「スポットCM」のどちらを選ぶか決めることになります。タイムCMとスポットCMにはそれぞれ適した目的があり、契約体系や用意するべき動画素材も異なるので、特徴やメリットについて知っておきましょう。

タイムCMの特徴・メリット

タイムCMの特徴・メリットとして知っておくべきポイントは次の3点です。

  • 指定の番組中に配信される
  • 最低1クール(3ヵ月間)から契約する
  • 「ネットタイム」と「ローカルタイム」の2種類がある

それぞれ詳しく解説します。

指定の番組中に配信される

タイムCM最大の特徴は、特定番組のスポンサーとして契約することです。指定した番組のCM枠で放映されるため、番組イメージと自社ブランドが結びつくことになります。テレビを見ていると「この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りしております」というフレーズを耳にしますが、これはタイムCM出稿企業を紹介しているのです。

好きな番組を思い浮かべると、同時に連想されるCMがあるのではないでしょうか。それがタイムCMならではの効果ともいえます。

最低1クール(3ヵ月間)から契約する

特定番組のスポンサーとなる性質上、タイムCMの契約期間は最低1クール(3ヵ月間)です。中・長期的なブランディング・プロモーションとは相性がいいですが、出稿期間が長いために必要予算額が高くなることも覚えておきましょう。

「ネットタイム」と「ローカルタイム」の2種類がある

タイムCMの中にも、全国に放送できる「ネットタイム」とローカル放送の「ローカルタイム」の2種類があります。

ネットタイムは、キー局系列各局で流れるCMです。

系列ネットワークキー局準キー局
NNN日本テレビ讀賣テレビ
JNNTBS毎日放送
FNNフジテレビ関西テレビ
ANNテレビ朝日朝日放送テレビ
TXNテレビ東京テレビ大阪
キー局の一覧

たとえばFNN系で「ネットタイム」と契約すれば、フジテレビをキー局とする全国の系列局でCMが流れるということです。

一方、地方各局で「ローカルタイム」を契約すると、その局の放送エリア内だけでのみCMが流れます。たとえばFNN系列の長野放送(NBS)であれば長野県のみ、岡山放送(OHK)であれば岡山県と香川県が担当エリアです。

地方によっては各系列ネットワーク加盟局がない場合もあるので、出稿局は広告代理店と相談して決めるといいでしょう。(たとえば青森県や山梨県、山口県などにはFNN加盟局はありません)

【動画マーケがおすすめ】地方局で安価に効果的なテレビCM出稿が可能!

【動画マーケがおすすめ】地方局で安価に効果的なテレビCM出稿が可能!
【動画マーケがおすすめ】地方局で安価に効果的なテレビCM出稿が可能!

スポットCMの特徴・メリット

スポットCMの特徴・メリットとして知っておくべきポイントは次の4点です。

  • テレビ局が指定した時間に配信される
  • 出稿パターンは4種類
  • 放送期間やCM投下量は柔軟に調整できる
  • 最小単位である15秒から出稿できる

それぞれ詳しく解説します。

テレビ局が指定した時間に配信される

スポットCMでは番組単位ではなく、出稿時間帯を指定してCMを流します。指定した時間枠のなかでランダムにCMが出稿されるため、タイムCMよりも自由度が高く、くわえて費用を抑えることが可能です。

出稿パターンは4種類

スポットCMの出稿パターンは次の4種類に大別され、CMを流す時間帯は「ゾーン(取り方)」と呼ばれます。

4種類のCM出稿方式
ゾーン(取り方)には全日・ヨの字・コの字・逆L字の4つの型がある
ゾーン時間帯特徴
全日6:00〜24:00出稿費用が安い
ヨの字平日6:00~9:00
平日12:00〜14:00
平日19:00〜23:00
土日6:00〜24:00
朝の通勤・通学準備中・お昼休みにもリーチできる
コの字平日6:00~9:00
平日19:00〜23:00
土日6:00〜24:00
朝の通勤・通学準備中にもリーチできる
逆L字平日19:00〜23:00
土日6:00〜24:00
視聴率が高い時間に集中出稿費用は最も高額

参考:テレビCMの料金相場はいくら?必要予算が変動する5つのポイント

ゾーンを絞れば絞るほど、出稿単価は高くなります。とくに視聴者数の多いプライムタイムやゴールデンタイムで出稿する場合には相応の予算を確保しておきましょう。

ゴールデンタイム・プライムタイム

もっとも視聴率が高い「19〜22時」をゴールデンタイム、少し遅めの時間まで含んだ「19〜23時」をプライムタイムと呼びます。高い視聴率が期待できる反面、広告素材に対する審査が厳しいことも特徴です。

放送期間やCM投下量は柔軟に調整できる

最低1クール(3ヵ月間)からの契約となるタイムCMと異なり、スポットCMは放送期間やCM投下量を柔軟に調整できることもポイントです。

たとえば認知獲得が目的の場合、CM接触回数(フリークエンシー)3回を目標とすることが多いですが、認知率の目標と合わせて必要GRP投下量(延べ視聴率)を計算し、必要最低限の予算で成果を目指せるのです。

※GRP投下量の詳しい計算についてはCMはどれくらい打てばいい?テレビCMの出稿量と認知率の関係を徹底解説!をご覧ください。

タイムCMではGRPを柔軟に調整できませんが、スポットCMではGRP投下量をコントロールしやすいと覚えておきましょう。

最小単位である15秒から出稿できる

スポットCMであれば、CM最小単位である15秒の素材からでも出稿できます。15秒の素材であれば動画制作費用も抑えられますし、30秒素材よりもテレビCM出稿費用を抑えられますから、はじめてテレビCMに挑戦する企業にもおすすめです。

テレビCMの出稿方法の決め方

ここまで紹介したタイムCM・スポットCMそれぞれの特徴をふまえると、それぞれの出稿方法に適したシーンは次のようになります。

タイムCMスポットCMSAS
(スマートアドセールス)
ブランディングしたい
番組の視聴者層でターゲティングしたい
費用対効果を高めたい
短い期間だけ出稿したい
テレビCMの反響を確認したい

具体的な例を挙げながら、テレビCMの出稿方法の決め方について解説します。

ブランディング目的ならタイムCM

特定番組のスポンサーになり、なおかつ契約期間が長いタイムCMは、ブランディングと相性がいい出稿形態です。

さて、この記事でも何度かブランディングという言葉を使っていますが、マーケティング用語として正確に意味を理解している方は少ないかもしれません。「ブランディング」という用語はさまざまな意味を含んでおり、マーケティングの実務では次のような意味で使われることが多いです。

  • ブランドの価値を高めること
  • ブランドの認知度を上げること
  • 自社商品・サービスの存在を明確にすること
  • 消費者からナンバーワン・オンリーワンとして認知されること

このような意味で用いられるブランディングですが、一言で表すと「○○といえばあの会社」「△△といえばあのサービス」と消費者に第一想起してもらう活動といえるでしょう。

第一想起

消費者がふとしたきっかけで最初に思い浮かべるブランド。たとえば「コーラ」と聞いた時に「コカ・コーラ」「ペプシコーラ」を思い浮かべるのであれば、この状態がまさに第一想起。

この第一想起とタイムCMは、非常に相性がいいことが特徴です。お菓子メーカーがチョコレート菓子Aをブランディングしたい場合を例に考えてみましょう。

アイドルグループXがMCを務めるゴールデン番組に、チョコレート菓子AのタイムCMを出稿するとします。すると番組視聴者の中で、段々と「番組そのもの・アイドルグループX」と「チョコレート菓子A」が結びついてくるのです。

この時、タイムCM素材にもアイドルグループXを起用していれば、両者のイメージ的な結びつきはより強固になります。アイドルグループXが好きな方、番組が好きな方は、チョコレート菓子Aにも好意的なイメージを持つようになることがポイントです。

番組やアイドルグループXに好意的な消費者の脳内では、次第に「チョコレートといえばA」「お菓子といえばA」さらには「甘いものといえばA」「自分へのご褒美といえばA」というイメージが定着していくでしょう。この状態こそが第一想起を獲得し、ブランディングを達成している状態です。

ブランディング目的ならタイムCM

1つの番組のスポンサーとして中長期的に出稿できるタイムCMには、上記のようなブランディング効果が期待できます。

番組の視聴者層でターゲティングしたいならタイムCM

番組の視聴者層でターゲティングしたい場合にも、タイムCMは有効です。一般的に、テレビCMを含めたプロモーション活動におけるターゲティングでは、次のような年齢性別区分が用いられます。

年齢
C男女4〜12歳
T男女13〜19歳
M1男性20〜34歳
M2男性35〜49歳
M3男性50歳~
F1女性20〜34歳
F2女性35〜49歳
F3女性50歳~
※CはChild、TはTeen、MはMale、FはFemaleという意味

先ほどと同じくお菓子メーカーを例に考えてみましょう。たとえばC層向けのスナック菓子であれば、アニメ番組でタイムCMを流すことで子ども達の間で第一想起を獲得できます。(アニメ番組内にもお菓子を登場させればより効果的です)

一方、F1層をターゲットにしたいのであれば、先述したアイドルグループXがMCのバラエティ番組にタイムCMを流すことが有効かもしれません。また、M2層をターゲットにしたチューインガムであれば、経済番組でタイムCMを契約するといいでしょう。

このように、番組の主たる視聴者章でターゲットを絞れることもタイムCMならではの特徴です。

なお、もう少し広い層を狙うのであれば、スポットCMでもターゲティング可能です。たとえば「睡眠の質を高める乳酸菌飲料」であれば、ターゲット層は「仕事で疲労した層」などが考えられますから、朝の通勤・通学準備中にリーチできる「コの字」の取り方で出稿してもいいでしょう。

費用対効果の高い配信を求めるならスポットCM

CM出稿料の費用対効果をより高めたいなら、GRP(延べ世帯視聴率)を柔軟に調整できるスポットCMがおすすめです。

実はCMを含めたプロモーションは出稿すればするほど効果が増える「比例関数」ではなく、ある点を過ぎるとアウトプット量が減少する「収穫逓減(ていげん)の法則」に近いとされています。

広告費用対効果の一例
広告費用対効果の一例(赤色が比例関数・青色が収穫逓減)

赤色のグラフのように効果が増大すれば理想的ですが、実際には青色のグラフのように一定のポイントで頭打ちになることが多いです。

これはイノベーター理論でいうところの「キャズム」で説明できます。初期のターゲット(イノベーターやアーリーアダプター)にリーチした後はキャズムを超えてマジョリティ層へアプローチしなければならないため、顧客獲得単価(または認知獲得単価)が上昇することが要因です。

イノベーター理論とキャズム(Chasm)

イノベーター理論とは、製品やサービスがどのように市場に普及していくかを説明する理論のこと。

イノベーター理論では購入者を「イノベーター(革新者)」「アーリーアダプター(初期採用者)」「アーリーマジョリティ(初期多数派)」「レイトマジョリティ(後期多数派)」、「ラガード(遅滞採用者)」と5つのカテゴリに分けることが特徴です。

このとき、早期採用者である「アーリーアダプター」と一般大衆である「アーリーマジョリティ」の間には大きなギャップ(キャズム)があるとされており、早期採用者は新しいもの好きのため比較的購入してもらいやすいものの、一般大衆にまで普及させるためには多くのリソースが必要とされています。

このような「収穫逓減の法則」を鑑みると、費用対効果を極限まで追及する場合は緑色の丸のラインで出稿量を調整する必要があります。

出稿費用のベストポイント
緑色の丸の出稿費用(CM投下量)がベストなポイント

実務上、このベストなCM投下量をピンポイントで射止めることは困難ですが、タイムCMよりスポットCMの方がCM投下量を調整しやすいことをふまえると、費用対効果の高い配信を求めるならスポットCMを選ぶべきといえるでしょう。

短い期間だけ出稿したいならスポットCM

スポットCMは短い期間から出稿できることもポイントです。たとえば決算セールやイベント情報などを1クール(3か月間)も宣伝することはないでしょう。このような短期的な情報をプロモーションしたい場合は、スポットCMがおすすめです。

はじめてのCM出稿ならSAS

さて、ここまでタイムCMとスポットCMについて紹介してきましたが、はじめてCM出稿する方にはスマートアドセールス(SAS)という形態もおすすめです。SASは15秒CMを一本単位で契約できる形態で、スポットCMよりも手軽に出稿できます

SASはCMを流す放映日時と番組を指定できるため、簡易的にスポットCMとタイムCM双方の特徴を取り入れることも可能です。テスト的にテレビCMを出稿したい方は、ぜひ活用してみてください。

まとめ

タイムCMとスポットCM、それぞれメリットや活用方法が異なるため、テレビCMを流す際には難しい判断が迫られます。

比較項目タイムCMスポットCM
特徴指定の番組中で放映
最低1クール(3ヵ月間)契約
「ネットタイム」と「ローカルタイム」の2種類
テレビ局が指定した時間で放映
出稿パターンは4種類
放送期間やCM投下量は柔軟に調整可能
最小単位である15秒から出稿可能
活用シーンブランディングしたい
番組の視聴者層でターゲティングしたい
費用対効果を高めたい
短い期間だけ出稿したい

これらの出稿形態以外に、獲得したい認知件数・顧客件数に応じてCM投下量も計算しなければなりません

このような複雑なテレビCM戦略を自社だけで完結させることは、多くの企業にとって大きな負担になるのではないでしょうか。テレビCMを出稿する際は、この記事で紹介したようなマーケティング戦略を理解している広告代理店と協力することをおすすめします。

動画マーケでは、CM出稿実績が豊富で、マーケティングに精通している下記の代理店を推奨しています。映像制作を依頼することも可能なので、テレビCMにまつわるあらゆる業務を一任できます。

【動画マーケがおすすめ】地方局で安価に効果的なテレビCM出稿が可能!

【動画マーケがおすすめ】地方局で安価に効果的なテレビCM出稿が可能!
【動画マーケがおすすめ】地方局で安価に効果的なテレビCM出稿が可能!

撮影×編集×プランニング
動画媒体の運用なら実績豊富なAdMarketへ

今すぐ無料でシミュレーションを依頼

高橋 美咲
住宅販売のマーケティングチームにてオフライン施策のコミュニケーション戦略や
TVCMなどのマス広告を中心とした統合コミュニケーション戦略立案の展開や運用を経験。
現在は広告代理店にて上位の戦略から予算を抑えたコストパフォーマンスの良いプロモーションの戦略の立案まで幅広く、プランニングに従事。