VFXを駆使したCM映像撮影スタジオおすすめ3選|選び方や撮影のコツとは?
VFXとはVisual Effects(ビジュアルエフェクト)の略で、実際の映像とデジタル技術によって生み出された映像を合成する技法や、その映像自体のことを指します。VFXを駆使すると撮影した映像を違和感なくCGと合成することが可能となり、現実では実現不可能な映像を制作できるようになります。
映画やドラマなどで活用されていたVFXの技術ですが、近年、CMの映像撮影においてもVFXの技術が注目されるように。本記事では、VFX撮影を成功させるためのポイントやスタジオの選び方、おすすめのスタジオ3選をご紹介します。VFXを活用することでリッチなCM映像を制作したいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
VFXスタジオの特徴
VFXスタジオとは、バーチャルプロダクションに特化したスタジオで、一般的なレンタルスタジオにはないVFX専用の設備や専用のカメラなどを備えています。CG制作から撮影、映像制作、編集までをワンストップで依頼できるスタジオが多いのも特徴です。
VFX専用のカメラや照明、CGソフトなどを使いこなすことは非常に難しいため、VFXスタジオには、高度な技術を持ったカメラマンや照明技師が常駐していることがほとんどです。
VFXスタジオがどのようなものなのかを具体的にイメージしていただくために、VFXスタジオの特徴である「クロマキースタジオ」「LEDウォール」「ボリュメトリックキャプチャ」についてご紹介します。
クロマキースタジオ
CG背景との合成を行う場合は、グリーンバックで撮影する必要があります。これは、背景の色を均一に保つことで、合成時の透過処理をムラなく行うため。このような背景が一面グリーンのスタジオは、クロマキースタジオと呼ばれます。
クロマキーとは、背景を透明にできる特殊効果技術のこと。クロマキースタジオでは被写体をキーイングして(切り抜いて)、CGで制作した背景と合成することができます。
クロマキースタジオで撮影した映像にCG背景を合成すると、ロケ地に足を運んで撮影を行ったり、背景セットを組む必要がありません。セットを組まないことで大規模なスタジオ設備も不要になるため、物理的な広さを気にすることなく、演出にあった背景でリッチな映像を制作できます。
また、クロマキー撮影はマルチカメラでの撮影に向いているため、複数台のカメラを使って「引き」や「寄り」を切り替えて映像を撮るような、ライブ配信やテレビ番組のような演出をしたいときにおすすめです。
LEDウォール
VFXを撮影するためのスタジオとして、大型で高精度のLEDウォールを壁や天井に配置したスタジオも人気があります。LEDウォールがあるスタジオの場合、CG背景を表示させながら被写体の撮影が可能で、あとからCGを合成する必要がありません。背景をキーイングする必要がなく、スタジオ内で映像を完成させられるのが特徴です。
演者も背景を見ながら演じられるため、CGによって作り出された空間に没入しやすく、完成形をイメージしやすいのも大きなメリットです。
また、LEDウォールは照明演出がしやすく、画作りにこだわりたいときにおすすめです。しかし、CG背景と被写体を一緒に撮影するため一発撮りとなります。あとから修正ができないため、引きや寄りを多用するようなマルチカメラでの撮影には向いていないといえるでしょう。
LEDウォールのあるスタジオでの撮影には多額のコストがかかるため、映像でどのような表現をしたいのかに応じて、クロマキースタジオと使い分けるとよいでしょう。
ボリュメトリックキャプチャ
ボリュメトリックキャプチャとは、360度全方位にカメラを設置して被写体を撮影し、編集ソフトに取り込み動画を3Dデータに置き換える技術です。野球中継などでも導入されたことがあるため、ご存知の方も多いかもしれません。映像をいろいろな視点から観れるのが魅力です。
被写体を撮影した映像をCGソフトに取り込むことで、あらゆる角度や位置からの映像を3Dデータ化します。これにより、通常のカメラでは回り込めない位置からの映像を生成することが可能になります。3Dデータから映像を切り出せるため、欲しい映像を撮るために何度も撮影するような手間がかからないのもメリットです。
ボリュメトリックキャプチャで作成されたデータはVR(仮想現実)やAR(拡張現実)と相性がよいため、今後スポーツだけでなく、ファッションやエンターテイメント、不動産業界での活用が期待できるシステムです。
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VFX撮影を成功させるの5つのポイント
専用のカメラとスタジオがあれば、VFX撮影ができるというわけではありません。クオリティの高いVFXを撮影するために、押さえておくべき5つのポイントをご紹介します。
1.トラッキングセンサーの使用
CGで制作した背景と被写体を合成するためには、現実世界の被写体を撮影するカメラワークと、仮想空間(CG)のカメラワークを同期しなければなりません。
この問題を解決するのがトラッキングセンサーです。通常、トラッキングセンサーは被写体を撮影するカメラに取り付けられるもので、トラッキングカメラから放たれる赤外線センサーで、被写体が移動した距離や位置を測定します。
これにより、カメラの動きにあわせてCG背景も自動的に動くため、違和感のない合成映像を制作できるようになります。
2.マーカー
トラッキングセンサーは、静止しているものを起点として被写体の動きを測定します。しかし、撮影する環境によっては起点にするものがないケースもあります。
たとえば、クロマキースタジオでは起点となるものを置けないため、グリーンバックに同色のマーカー(グリーンのテープなどの目印)を貼って起点を作ります。
グリーンバックにグリーンを貼っても映像上は見えませんが、編集ソフト上ではマーカーが目印として検出できるため、CGの中でも実写の映像と同じカメラワークを再現することができます。
3.CGソフトの特性
VFXは、実写カメラで撮影した映像とトラッキングデータをCG ソフトに取り込んで制作します。CGソフトには、リアルタイム性があり映像に遅延が発生しないVizArtistや、まるで実写のようにリアルなCGを作り出すことができるUnreal Engineなどがあり、種類も多種多様です。
制作のスピード重視なのか、それとも映像のクオリティを求めるのかなど、作り出したい映像にあわせて適したCGソフトを選択することになります。しかし、CGソフトとトラッキングセンサーには相性があるため、組み合わせも考えて選ぶ必要があります。
4.リアルタイム合成確認(オンセットプリビズ)
リアルタイムでCG合成を確認することを、オンセットプリビズといいます。通常のクロマキー撮影の場合、撮影の時点ではCG合成後の状態はわかりません。しかし、VizArtistやUnreal Engineを使用すると、実写とCGをリアルタイムに合成できるため、その場で合成した映像をすぐに確認することが可能です。
また、トラッキングカメラを併用することで、実際の動きや照明の位置なども、仮合成された映像を見ながら現場で調整できます。これにより、後から撮影をし直す必要がなく、そのぶんのスケジュール調整や費用が不要になります。
オンセットプリビズによって編集作業前にシミュレーションできるので、限られた時間の中でクオリティの高い映像を制作することができるのです。
5.照明・ライティング
VFXの撮影を行う際、照明やライティングは重要な要素の一つです。クロマキー合成を行う際、グリーンバックにはムラのない均一な光を当てる必要があります。これは、グリーンバックに当たる照明にムラがあったり明るさが足りないと、うまくキーイング(切り抜き)ができないため。
LEDライトであれば、ムラのない均一な光を当てることができるため、キーイングがしやすくなります。グリーンバックでVFX撮影を行う場合は、LEDライトで撮影するようにしましょう。
また、照明設備だけでなく照明技師の技術も重要です。スタジオの天井高や空間の広がりを熟知していないとムラのないライティングができず、うまくキーイングできないこともあります。VFX撮影におけるライティングは、スタジオに常駐する照明技師に依頼することをおすすめします。
グリーンバックを用いたクロマキー合成に適したスタジオについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
照明が超重要!グリーンバックを用いたクロマキー合成に最適な撮影スタジオとは?
VFX撮影スタジオの選び方
VFXスタジオといっても、クロマキースタジオもあればLEDウォールのあるスタジオもあります。実際に選ぶ際は、どのようなことに注目して選んだらよいのでしょうか。VFXスタジオの選び方について、詳しく解説していきます。
コストが予算と合っているか
VFXスタジオのなかには、パッケージプランを用意しているスタジオもあれば、時間単位の料金を明示しているスタジオもあります。
まずは、撮影にかかるコストが予算と比較してどのくらいなのかを確認しましょう。明確な料金体系がわからない場合は、見積もりを依頼してみることをおすすめします。
LEDウォールのあるスタジオを利用する場合は、一般的に数百万円単位の費用がかかります。映像のクオリティを優先させるのか費用を優先させるのか、バランスを考えたうえで撮影スタジオを選ぶようにしましょう。
適切なオペレートを受けられるか
スタジオの設備や機材などと同様に重要となるのがオペレートです。いくら高い機材や最新鋭の設備が導入されていたとしても、オペレートがよくなければクオリティの高い映像は作れません。
専用の機材が必要となるVFX撮影の場合は特に、カメラマンや照明技師の技量が重要になります。撮影の経験が豊富なカメラマンや照明技師がいるのかや、専属のデザイナーや専任のオペレーターがいるのか、また、撮影当日にどういったオペレートをしてもらえるのかなどを確認しておくようにしましょう。
撮影の実績が豊富にあるか
VFX撮影の依頼をする前に、スタジオがどのくらいのクオリティの映像を制作できるのかを確認しておくことは重要です。専門性の高い技術が必要となるVFX撮影の場合は、スタッフの技術によって映像のクオリティが大きく左右されます。
それぞれのスタジオで制作できるVFX映像のクオリティは、ホームページなどで公開されている制作実績で確認できます。依頼前に制作実績を確認し、希望する映像のクオリティを実現できるのかどうかを調べておきましょう。
VFXでクオリティの高いCM映像が撮影できるおすすめスタジオ3選
最後に、おすすめしたいVFX撮影スタジオを3つご紹介します。それぞれの特徴やメリットについてもあわせて見ていきますので、スタジオ選びの参考にしてみてください。
1.ワンストップスタジオ東京
出典:ワンストップスタジオ東京
クロマキースタジオでVFXを撮影するなら、CG制作から撮影、ライブ配信までをワンストップで依頼できる「ワンストップスタジオ東京」がおすすめです。ワンストップスタジオでは、撮影をしたその日にデータを持ち帰ることも可能です。
スタジオレンタル費用とカメラマン・機材の費用がセットになったお得なプランが多数あり、わかりやすい料金設定なのも嬉しいポイント。たとえば、PLAN Cのスイッチャー合成プランに加えて、Viz ArtistとVioTrackRによるバーチャルプロダクションシステムが合わさったバーチャルライブ配信プランなら、4時間映像撮り放題で500,000円で依頼できます。
撮影の実績も豊富で、熟練した技術を持つカメラマンや照明技師が常駐しているため、VFX撮影に初めて挑戦する方も安心して任せられるでしょう。神田駅から徒歩3分という、便利な立地も魅力です。
所在地 | 〒101-0042 東京都千代田区神田東松下町38 鳥本鋼業ビル地下 |
アクセス | 【東京メトロ銀座線】神田駅より 徒歩3分 【JR山手線】神田駅より 徒歩3分 【都営地下鉄新宿線】岩本町駅より 徒歩3分 |
電話番号 | 03-6206-0788 |
受付時間 | 9:00~21:00 |
2.ASTRAY STUDIO 北参道
LEDウォールのあるスタジオをお探しなら、大型ディスプレイのある「ASTRAY STUDIO 北参道」をおすすめします。北参道駅から歩いて1分のところにあるスタジオです。
クロマキースタジオでは再現できない、光の影や反射などの照明演出が表現できるため、まるで映画のようなクオリティの高い映像を撮影できます。
カメラマンやオペレーター、照明技師、録音部なども常駐しており、コンテンツの企画から提案、制作撮影までワンストップのサポートを受けることができます。
所在地 | 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-38-14 STANTION kitasando 2F |
アクセス | 【東京メトロ副都心線】北参道駅より 徒歩1分 |
電話番号 | 03-6804-1571 |
受付時間 | 記載なし |
3.MONSTER STUDIO
「MONSTER STUDIO」は、ライブ配信やネット番組の撮影配信が得意なクロマキー撮影に対応したスタジオです。
わかりやすい時間単位の料金設定があり、土日祝日に比べて安く設定されているので、平日利用がおすすめです。ちなみにスタジオ(副調整室利用の場合)は、平日の場合1時間あたり2万円でレンタルできます。(最低時間3時間~)
撮影・配信はもちろん、機材のみのレンタルも可能です。またスタジオには控室も完備されており、控室は貸し会議室としても利用できます。
所在地 | 〒107-0062 東京都港区南青山1-26-1 寿光ビル スタジオ5F/オフィス6F |
アクセス | 【東京メトロ千代田線】乃木坂駅より 徒歩1分 |
電話番号 | 03-6447-0091 |
受付時間 | 10:00~19:00 |
まとめ
VFX撮影を成功させるためのポイントやスタジオの選び方、おすすめのスタジオ3選をご紹介しましたが、いかがでしたか。VFXスタジオにはそれぞれ特徴があるため、実現したい演出や予算に合ったスタジオを選ぶことが重要です。
テレビ番組のような演出にしたいのであればクロマキースタジオ、360度の映像を使用したいのであればボリュメトリックキャプチャのあるスタジオ、照明演出を最大限に利用してクオリティの高いVFX映像を撮影したいのであればLEDウォールのあるスタジオを選びましょう。
また、スタジオに撮影の経験が豊富なスタッフが常駐しているかどうかを確認することも大切です。
スタジオによっては、実際に見学できるところもあるため、「VFX撮影は難しそう」「どうやって依頼したらよいかわからない」と悩んでいる方は、ぜひ一度見学を申し込んでみてはいかがでしょうか。
動画マーケでは、CG制作から撮影までをすべてワンストップで依頼できる下記のスタジオをおすすめしています。撮影の経験が豊富なスタッフも常駐しているため、初めてVFXを撮影する場合でも安心して依頼できるでしょう。
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ワンストップスタジオ東京
- 高岸 亮介
- 高性能のカメラや映像処理ソフトウェアを使いこなし、映像の品質と効果を最大限に引き出すことを得意としている。
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